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水子地蔵尊が各地に建立され、水子供養が習俗として現代に定着した観をも呈するようになりましたのは、昭和40年代から50年代にかけてです。
わが国では、昭和23年9月に、「優生保護法」が制定され、母体保護の立場から、また、優生学的・経済的に必要と認められた場合、人工妊娠中絶が可能になりました。厚生省の統計によりますと年に65万体以上の中絶手術が行われていますが、法の趣旨が拡大解釈されて「堕胎天国」「中絶天国」とまでいわれますように、無法な中絶手術はおそらく三倍以上とみられ、年間推定200万件は下らないとさえみられているのが実情です。
「墓地、埋葬等に関する法律」第2条の規定によって、妊娠4カ月以上の死胎児は埋葬ないし火葬されなければならないと規定されていますので、病院と提携して胎児を包む皮膜や胎盤、いわゆる後産の処理を業務として請け負う胞衣(えな)会社が火葬してくれる仕組みになっています。ところが、無法な闇手術によって生命を絶たれた胎児は、火葬もされずに産婦人科医院に設置されている遠心分離機にかけられて下水に流されてしまうか、生ゴミとして処理されてしまう冷酷悲惨きわまりない運命がまちうけているのです。水子供養の隆盛は、現代の性風俗の退廃と呪術への退行現象をよく表わしています。世の中には子供のいない夫婦があり、子安観音に子授けを祈るかと思うと、不倫の愛欲の挙句に不法な堕胎手術をうけて一生日の目をみることなく永劫の暗闇に葬られた胎児の怨念を怖れて水子地蔵を建立する者がいるとは、まさに現代の悲劇でもあります。
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